オウンドメディアの目標設定はどうやればいい?KPI・KGIの立て方や注意点を解説
オウンドメディア(企業が自社で保有するメディア)を自社ブランドの発信などのために活用する企業が近年増えて来ています。
オウンドメディアを運営するうえで、
「オウンドメディアの目標設定はどうすれば良いの?」
「そもそもオウンドメディアのゴールはどこ?」
「オウンドメディアの目標管理について知りたい」
このような疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。オウンドメディアにおいて、目標管理は非常に重要となるため、知っておくと成果の出やすい組織づくりが可能となるでしょう。
本記事では、
- オウンドメディアの目標設定方法
- KGIとKPIについての解説
- オウンドメディアのKGI・KPI設定における注意点
大きく以上の事について解説していきます。是非最後までお読みください。
Contents
オウンドメディアの目標設定はゴール次第で変わる
オウンドメディア運営を行ううえでゴール設定はとても重要な項目です。ゴール目標を設定することによって、企業の目的に合ったオウンドメディア運営がしやすくなります。
適切なゴール設定ができていないと集客につながらないどころか、無駄に時間とコストがかかるだけになってしまいます。
まずは、ゴールを明確にしてから、ゴールに向かうプロセスを検討していきましょう。
なにをゴールにするのか
まずは、オウンドメディア運営に関する目的と目標を設定する必要があります。どうしてオウンドメディアを設定したいのかを良く考え、最終的にどうなりたいかの目標を細かく設定しましょう。ゴール設定を行うには、まずはKGIを設定し、KGIに向かってKPIを選定します。
例えば、オウンドメディアのPV数を50%アップする、という目標を立てたとしましょう。PV数50%アップを達成するための達成度合いを可視化するのがKGIです。KGIとKPIについては後程詳しく解説しますが、KGIは最終目標の事で、KPIは中間指標の事とまずは覚えてください。
目標設定にはKPIとKGIを指標にする
KPIとKGIは軽く前述しましたが、KPIとKGIはビジネスの目標管理の上で非常に重要な役割を担っています。オウンドメディア運営には、KGIとKPIを明確に設定することで、企業も目的に合った適切なオウンドメディア運営が可能となります。ここからは、KPIとKGIの本質的な意味について解説し、オウンドメディア運営の活用方法についても紹介していきます。
KPIとは
KPI(Key Performance Indicator)とは、重要達成度指標や重要業績評価指標と言われることが多く、簡単にいうとゴールに至るまでの中間指標のことです。KPIを設定するには、KGIをまずは設定しておかなければなりません。
KGIが最終目標で、KPIはKGIから逆算して設定していくことになるからです。何のためにKPIを設定するのかというと、現在の業績を評価し、管理するためです。KPIを設定することで、目標(=KGI)に対して進行具合が把握でき、遅延している際には、設定しなおしたり、軌道修正を行うことができます。
先程の例でいうと、オウンドメディアのPV数50%アップという目標に対して、実施する必要があるタスクや業務の達成状況を把握するために用いるのがKPIです。
KPIには、目標達成のために細かく設定するため、その対策を整理して目標に向かうことができるため、業務の効率化にもつながります。
KPIが重要な理由は、大きく以下の通りです。
- 業務の最終目的が明確になり、達成への最短ルートを進むことができる
- 評価の基準が統一できる
- 心理的障壁は下がる
- PDCAサイクルを円滑に回すことができる
以上の項目の中で、特に重要なのが、PDCAサイクルを円滑に回すことができるようになることです。
PDCAサイクルとは、P(Plan:計画)D(Do:実行)C(Check:評価)A(Action:改善)の頭文字を取った言葉で、目標達成のために使われる有効な手法です。
最終目標(=KGI)を達成するためには、KPIを継続的に測定・監視し業務の振り返りを行うことで、課題の解決や、改善が行われます。
KPIと実績に大きく乖離がある場合には、KPIの設定が適切ではないため、KPIの見直しや、業務の見直しを行う必要があり目標達成にもくてKPIを見直すことで、PDCAサイクルを円滑に回すことができます。
KGIとは
KGI(Key Goal Indicator)とは、重要目標達成指標のことで、簡単にいうと最終的な目的です。企業や組織などが何らかの目標を目指して活動する際に、KGIは最終的な成果を評価するための基準です。
成果の指標を定量的に定めたものであるため、売り上げ・利益などがKGIに定められることが多いです。オウンドメディア運営の場合、どのような戦略の中でオウンドメディアを活用してどのようになりたいかを具体的な数値を出して検討し、KGIを設定します。
先程の例でいうと、オウンドメディアのPV数50%アップというのがKGIとなりますが、その他には、売上や成約数、利益率などが挙げられます。
ここで注意すべきなのが、漠然とした目標にするのではなく、目標を達成できたか否かを客観的に判断できる具体的な数値目標とすることが重要です。「オウンドメディアのPV数アップ」という目標を立てるよりも、「オウンドメディアのPV数50%アップ」というように、どれだけの数値を達成するのかを明確にすべきです。
最終的な目標が明確になっていない場合、相応のKGIを設定することができず、その結果、本来であればKPIにあたるものとKGIにあたるものを混同してしまうパターンもよくあります。KGIを設定する際には、本当にその目標がKGIとして適切であるか、十分に検討する必要があります。
KPIとKGIを用いた目標の立て方
目標設定のためには、まずはKGIを設定し、そこからKPIを設定していくと前述しました。KGIとKPIを設定する際は、より具体的な数値を以って設定する必要があり、進捗を定期的に確認することで効率的にPDCAサイクルを回すことが可能です。しかし、実際にはどうやって目標を立てれば良いのか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。そこでここからは、KGIとKPIを用いた目標設定の進め方を具体的に解説していきます。
明確なKGIを先に設定する
まずは、明確にKGIを設定していきます。明確に設定しなけれなならない理由は、KGIが抽象的になってしまっていると、その後設定するKPIもKGIに沿っていないものになってしまい、KGI達成が遠回りになったり、達成できなかったりするためです。
オウンドメディアは短期で成果が出るものではないため、できるだけ長期スパンでKGIを設定するようにすると良いでしょう。
また、KGIを設定する際に有効「SMART」というフレームワークもあります。SMARTとは、明確な目標を達成するために必須の5つの要素の頭文字を取ったもので、目標設定のためのフレームワークを指します。以下に詳細を紹介していきます。
・Specific(明確性):具体的でわかりやすい目標を設定します。
・Measurable(測定可能):目標までの進捗を定量的に計測できる指標かどうかを考えて設定します。
・Achievable(達成可能):達成できる現実的な目標になっているか確認します。目標は低すぎても、高すぎても企業のためになりません。
目標が低すぎると、企業の成長につながらりません。逆に目標が高すぎると、不可能な目標にやる気をなくし、モチベーションの低下につ ながってしまいます。
・Related(関連性):企業の目指すべき姿や経営戦略に沿って、関連性のある目標になっているか確認します。
・Time-bound(期限を定める):KGIを達成する期間を決定します。期限を明確にしないと、KPIを立てていくことができなくなります。
複数の期限を設定し、短期的・中期的・長期的な目標を設定する必要があります。
KGIに即したKPIツリーを作成する
適切なKGIを設定できたら、KPIを設定していきます。KPIをKGIに即したものにするために、KPIツリーというものを作成することをおすすめします。
KPIツリーとは、オウンドメディアの最終目標であるKGIを頂点とし、その実現のために設定された複数のKPIを枝葉のように図示して可視化したものです。(下図参照)KGI達成のために必要なアクションは一つとは限らず、KPIツリーを作成することで、漏れや重複がなくKPIを設定することができます。
KPIツリーを作成することによって、KGIを達成するために必要な行動や、全体像、施策の効果検証などが可視化されます。その理由は、KPIツリーの作成によって、最終目標の内容や、それを達成するために思考やアクションが一目瞭然となるからです。
以上がKPIツリーになります。KPIツリーの描き方は、一つのKGIに対して複数のKPIを設定し、それぞれの関係性を明らかにすべく、俯瞰的に描きます。大目標であるKGiを達成するために、KPIをそれぞれどのように達成するか考えてシステム化をしましょう。
最終的にはKPIとして設定した数値を日々重ねることにより、蓄積したKPIが結果として大目標であるKGIの数値達成につながるようにします。
このようにKPIツリーを作成すると、KGIを達成するためのKPIが細かく設定でき、全体像も可視化できているのではないでしょうか。
また、以下にオウンドメディア運営におけるKPIの一例を紹介します。是非参考にしてKPIを設定してみてください。
オウンドメディアの目的 | 設定するKPIの一例 |
認知拡大 | PV数、SNSのシェア数、発信数 |
リードの獲得 | 問い合わせ件数、資料請求数、セミナー申し込み数、 |
商品やサービスの購入 | 販売数、売上、CV率、利益 |
採用 | エントリー数、問い合わせ数 |
もしKPIツリーを作成しなかった場合、以下のような問題が生じる可能性があります。
- ボトルネックとなっている問題がわからない
- 具体的な対策を考えるのが難しい
- 施策の効果検証が難しい
これらの問題が生じ、企業の組織運営に支障をきたす危険性があります。問題を整理しきれないと、ボトルネックとなっている問題を発見できません。
また、目標とアクションプランにおいて、関係性が理解できず具体的対策の組み立てもできません。具体的な対策が目標達成に対してどんな効果を生み出したかを検証することもできなくなってしまうのです。
組織目標を設定してもKPIツリーを作成しなければ、隅々までその意図が伝わらずに終わってしまうのです。
KGI達成に必要なKPIを設定する
KPIツリーを作成したら、各項目にKPIを設定していきます。KGIを達成できるような、具体的なKPIを設定することが大切です。設定したら、逆算してそれぞれのKPIを達成していくことによってKGIが達成できるかを確認します。この工程を実施しないと、KGI達成までのKPIがぶれてしまい、結局KGIが達成できないといった事態になりかねないため、注意が必要です。
長期・短期それぞれ設定する
KPIは、短期的な目標を達成する短期KPIと、長期的な成長を見据えた長期KPIに分けられます。短期KPIは、例えば四半期など、すぐに結果が出る目標です。長期KPIは3年後などの時間をかけて達成する目標です。短期と長期の目標をバランスよく設定すると、持続的な成長が見込めます。
オウンドメディアにおいては、立ち上げから成果が出るまでにどうしても時間を要してしまいます。立ち上げ期の短期の目標と、オウンドメディアを広めるまでの長期的な目標をそれぞれ設定することが重要です。
各KPIの期限を設けてアプローチ方法を考える
オウンドメディアの長期と短期のKPIを設定したら、それぞれのKPIのに期限を設けると良いでしょう。その理由は、SEOは日々刻々と変化しています。長期すぎるKPIを設定してしまうと、変化に追いつけなくなってしまうためです。
また、期限を設けないと、施策や指標が曖昧になってしまうというデメリットもあります。なんとなくKPIを達成していっても最終的なKGIを見失ってしまいがちになってしまいます。
失敗するオウンドメディアの特徴と目標設定における注意点
オウンドメディアは中長期的な戦略と運用があってこそ成果を実感できるマーケティング手法です。オウンドメディアを育てる中で、失敗する要素は多くあります。また、オウンドメディアの運営を成功に導くためには、いくつかの注意点があります。ここからは、失敗してしまうオウンドメディアの特徴と、注意点について解説していきます。
そもそものKGIが間違っている
オウンドメディアで成功するには明確なKGIが必要ですが、その目標が高すぎたり曖昧すぎたりするとKPIツリーも崩れ、オウンドメディア運営はうまくいきません。そのような場合は、おそらく見切り発車で大まかなKGIを設定している可能性が高いため、現段階で達成可能で、明確なKGIを設定するように心がけましょう。
また、KGIを設定するうえで、「何が重要か」を考えずに設定すると、その後設定するKPIも崩れ、目標達成も難しくなります。KGIとKPIを設定するときは、「何が重要か」を考えて、設定するようにしましょう。
KPIの設定数値に無理がある
前述の通り、KPIは長期と短期で設定する必要があると解説しました。長期の目標については、1年、2年と設定する必要があり、実施するKPIで本当にKGIを達成できるのかをよく検討しなければなりません。
KPIの設定数値が高すぎると、そもそもKGIまでたどり着くことができません。KPIの設定数値は具体的で達成可能なものを設定しましょう。また、KPIが高すぎると、企業のチーム内に負荷がかかったり、対策を失敗してしまい、結果的にKPIも達成できなくなります。達成可能かどうかは、これまでのデータやどれだけリソースを割けるかを加味して設定しましょう。
サイト設計、コンテンツの質が低い
オウンドメディア運営で重要なコンテンツの質が低いと、失敗する可能性が高くなります。メディアの目的やペルソナに合ったサイト設計をすることによって、KPIの達成に近づきます。一つ一つのコンテンツの質を高めるように日ごろから意識するようにしましょう。
質を高めるには、「E-E-A-T」を担保することも重要になってきます。
E-E-A-Tとは以下の頭文字から取った用語です。それぞれ解説していきます。
E: Experience(経験):コンテンツ作成者が持つトピックの必要な実体験や人生経験の量のことをいいます。
その分野においての経験を明記している方が、信頼されやすいメディアになります。
E:Expertise(専門性):コンテンツ作成者が持つトピックの必要な知識や技術の量のことをいいます。
A:Authoritativeness(権威性):コンテンツ制作者やウェブサイトが持つトピックの有力の情報源としての認知度のことをいいます。
T:Trustworthiness(信頼性):ページの安全性、正確性、誠実性の量のことをいいます。
これらのE-E-A-Tが重要な理由は、SEOに関係があるからです。
このことについては、明確にGoogleが言及しているため、以下に引用します。
E-A-T 自体はランキングに直接影響する要因ではありませんが、E-A-T が優れているコンテンツによく見られる要素の組み合わせを使用することは有効です。
引用元:有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル | ドキュメント | Google Developer「E-A-T と品質評価ガイドラインについて」
このことから、E-E-A-Tを意識したメディアにすることで、SEO上位を取ることができ、検索上位表示でされることにつながります。
戦略設計と運用体制の不備
質の高いコンテンツを継続して発信するには、運営体制の整備は必須になります。責任者の選定から役割分担まで、運営体制を明確に構築することが不可欠です。人員体制については、オウンドメディアのコンセプトに見合うライターやディレクター・編集者などのコンテンツを作成する担当者と、オウンドメディアの戦略設計や改善を行う担当者など、それぞれに適した人材配置が重要になってきます。運用初期で人材が少ない場合や、適した人材がいない場合は、外注という選択肢もあるでしょう。
これらの体制が運営初期の段階で整っていないと、コンテンツの質の低下や、記事の執筆頻度の低下など招き、オウンドメディアの継続が難しくなるケースも発生してしまいます。オウンドメディアで成功させるためには、長期の運営ができる体制を整えましょう。
KPIをどこに置くかはフェーズにより異なる
オウンドメディアのKPIは、立ち上げ初期~後期でいくつかのフェーズに分けて考える必要があります。フェーズによってKPIを変える理由は、その時々によって、ユーザーの流入数適切なKPI設定を行い、オウンドメディアを成長させていきましょう。以下に詳しく解説していきます。
初期であれば投稿する本数をKPIに置くこともある
オウンドメディア立ち上げ当初は、とにかくコンテンツの数を増やし、メディアの土台作りをすることが必要不可欠です。そのため、コンテンツの投稿する本数をKPIに設定する必要があるでしょう。注意すべきなのは、オウンドメディアの立ち上げ初期からCV率や利益などをKPIに設定してしまうことです。運営初期にユーザーの流入は見込めないといって良いでしょう。ユーザーの流入が見込めない中でCV率などを追っても、効果検証はできません。初期から高い目標を追うのは避けましょう。
そもそもの流入が少なければPVになる
ある程度のコンテンツの数が蓄積されてきたら、次のフェーズとして、PVやUUを狙っていきます。既に作成した記事のコンテンツの改善にも着手する段階であるため、特に成果を挙げたい記事のPV数などをKPIに設定しましょう。
しかし、ある程度のコンテンツの量産と改善が進んできたら、次は成果につなげるページへの遷移や、CV率を上げて売り上げにつなげていきます。ここで注意すべきなのが、コンテンツの量産と改善を進めても、ユーザーの流入が少ない場合です。その場合は、無理にCV率を上げる段階に進むのではなく、PV数を上げることを意識し、コンテンツのさらなる改善をしなければなりません。ユーザーの流入が少ないままでは、そもそもCV率を上げることもできないためです。このあたりの軌道修正は目標数値と実績数値を見ながら柔軟に行うようにしましょう。
目標設定はきちんとした上でオウンドメディアを運用しよう
本記事では、オウンドメディアの目標設定について紹介しました。
オウンドメディアの運営では、まずは目標設定を明確にし、メディアの方向性を決定することが重要です。そこからKPIを設定していきましょう。前述のとおり、オウンドメディア運営において、KPIは現状の把握や課題の発見に役立つ指標です。コンテンツの量やPVやUU数などがKPIとして設定されがちですが、全ての数値を追うのではなく、目的やフェーズに合ったKPIの設定を行いましょう。KPIを効果的に運用するためには、コンテンツを継続して作成しながら、改善を繰り返すことが大切です。
適切な目標設定とそれを設定するための戦略立案で、オウンドメディア運営での成功を目指しましょう。